多様性を企業の競争力に変える
はじめに
障害者雇用に関わっていると「多様性」や「ダイバーシティ」という言葉をよく耳にします。最近は、こういった単語を表した組織をつくり「働き方改革」の実現に取り組んでいる企業もあります。私は、6年以上にわたり特例子会社を通じて障害者雇用に関わっていますが「多様性」には「多様な価値観や人材を受け入れる」以上の価値があると思っています。
多様性と無関心は表裏一体
そもそも自分の価値観に合わないものは誰にとってもストレスです。障害者か健常者かに関わらず、波長が合う合わないといった話は誰の人間関係に存在しており、社会生活とは、そのストレスと付き合うことでもあります。「他人の価値観を尊重すべき」という論調もわかりますが、これを執拗に押し付ける行為も多様性がないと感じてしまい、堂々巡りです。
では、どうしたらいいか。
他人に共感してもらうことを期待しない。真の多様性とは他人に対して「適度に無関心」になることです。期待しないし興味ももたない。逆説的ではありますが「多様性を受け入れるということ」は「無関心になること」なのかもしれません。
障害者雇用から学ぶ競争力
発達障害者が働きづらさを感じる理由の一つが、言語化されていない「暗黙の了解」の存在です。「空気を読むのが苦手」もしくは「空気を読みすぎてしまう」特性の人にとって、この「暗黙の了解」へ共感を強いられることは苦痛でしかありません。
必要なのは、会社生活にある固定観念(アンコンシャス・バイアス)を極力排除して、社員とのコミュニケーション量を増やし、そして社「適度に無関心になる」マネジメントです。放置するのではなく、個性に向き合うコミュニケーションが絶対に必要です。
実は、この「個性に向きあうコミュニケーション」が日本の大人が苦手なことです。「お盆の上のあずき」と揶揄されるほど、右に習えの同調圧力の中で育ってきた昭和世代。「暗黙の了解」のもとに一生懸命働けば出世階段をあがるので、「個性に向き合う」必要はなく、マネジメントコストはかかりません。
でも今は違います。
経済成長は止まり、インターネットやSNSによって個人の価値観が多様化しはじめた今「右に習え」はAIが得意な領域です。誤解を恐れずにいえば、多様な価値観のマネジメントに慣れてない大人たちは、モノゴトを違った角度でみる能力が「未発達」。今こそ障害雇用の現場から学ぶことがたくさんあるのではないでしょうか?

さいごに
インターネットによって情報格差が解消され、ちまたにはモノやサービスがあふれています。そんな時代に、多様性のない組織は生き残れません。5年後、10年後を考えたら、多様な価値観を戦力化する能力が、ビジネスで勝つための「競争力」になっていると思います。「多様性」とは、働き方改革の先にある「競争力」そのものなのです。
