社会課題の解決を持続可能に 〜 ミドル世代のキャリア2.0 〜

身辺雑記

社会課題の解決を持続可能に 〜 ミドル世代のキャリア2.0 〜

はじめに

今年から、少しずつですがソーシャルセクターの活動を手伝っています。社会課題の解決を目的とした団体はたくさんあり、どこも素晴らしい活動をしている一方で、やや「商売感覚」が足りてないと感じます。「非営利なら商売っ気は必要ない」と言われることもありますが、 資本主義という社会基盤がある以上、そんなことはなありません。

今回は、社会課題の解決をより持続可能にするために、ミドル世代の現役ビジネスパーソンの活躍が期待されているという話しを書いてみました。 (先に断っておくと、本記事はソーシャルセクターで活動されている人たちに上から物を言うような意図はありません。ただ「自分にできることは何か」を考え、言語化したものです。)

子どたちを誰ひとり取り残さないために

最近は「子どもたちを誰ひとり取り残さない」を個人のテーマに据え、ソーシャルセクターの世界に足を踏み入れています。大人の生きづらさには本業で向き合っているので、課外活動のテーマは子どもたち。

元々は、その子どもたちと実際にコミュニケーションをとったり、直々に物事を教えるようなお手伝いを考えていました。ただ、実際に現場を見てみると、その役割には学生や20代の社会人など、若い人たちがボランティアとして活躍しています。

彼ら彼女らを見ていると「俺は学生だったときに何してたかな…」と思い返し無性に恥ずかしくなります(汗) そして何より、少なくとも自分自身と比べた場合、若い人たちのほうがその役割に向いているとも感じます。そこで受けた刺激をエネルギーに、自分にしかできないことを考え直しました。

社会課題の解決にはお金が必要

社会課題を解決するためとはいえ、NPOをはじめとする非営利団体の活動にお金は必要です。

  1. 活動を維持するための設備やツールなどの費用
  2. 活動を知ってもらうためのマーケティング費用
  3. そこで働く人の給料 (100%ボランティアは無理)  等

現状、こういった費用の大部分は助成金や寄付で賄われているのですが、それらが永遠である保証はどこにありません。1や2の費用対効果を高めるための継続的な努力が必要不可欠です。同時に、3を少しずつ上げていくことも必要だと思っています。

「働く人の生活とモチベーションをしっかり維持しながら、入ってくるお金を増やし、出ていくお金を減らす」という、企業で当たり前のように行われている努力が社会課題の解決にも必要というシンプルな話しです。

現役のビジネスパーソンににできること

情報収集をはじめると、特例子会社の経営(障害者雇用)やマーケティング、クラウドファンディングの事業経験がある私にとって相性のいい活動が多いことがわかりました。前述した通り、非営利活動であってもそれが持続可能であるためには「商売感覚」が必要で、私のような現役の企業人材には一定の需要がある気がします。

助成金や寄付の財源をたどれば、それは一般生活者の「お財布」なのですが、企業で働く人間からすると、そこから捻出されたお金がオーバースペックなツールや非効率なビジネスプロセスに投じられているのを見ると若干モヤモヤします。(今まで何もしてこなかった自分がそんな偉そうなことを言う立場にないのは理解しています)

また、非営利団体が広告宣伝活動をしていると「『そのお金を困っている人に直接的に使ったほうがいい』と言われることもある」と聞きました。広告宣伝活動は、その困っている人を探し出すためのマーケティングなので必要な活動です。現役のマーケターならすぐ理解できるその意図が、なかなか理解されない世界。

そこには「入ってくるお金を増やし、出ていくお金を減らす」ことを生業にしている現役のビジネスパーソンの「商売感覚」が求められていると感じました。

ミドル世代のパラレルキャリアに最適

「現役のビジネスパーソン」といっても、20〜30代の若手より、40代以降のミドル世代のほうが相性がいいと思っています。それは以下のような理由からです。

  1. 必要とされる豊富な経験と十分な実績を備えている
  2. がむしゃら期を終え、時間や気持ちに余裕がではじめる
  3. マネジメントが増え、実務経験が減ることに危機感をおぼえる

もちろん、すべてのミドル世代がそうとは言いませんが、上記に該当する40代以降のビジネスパーソンは多いはず。「リスキリング」という言葉が叫ばれる人生100年時代、40代でも50代でも、自身の市場価値を維持・向上させる努力は必要不可欠です。

企業でも徐々に副業が解禁され、テレワークの浸透で世界中のどこにいても仕事ができるようになりました。こういった働き方の変化も追い風です。ミドル世代のパラレルキャリアとして、またリスキリングの機会としての活動が、そのまま社会課題の解決につながる時代が今なのです。

さいごに

私が障害者雇用で一定の成果を出せた理由の一つとして「特例子会社の代表を専任でやっているのではなく、本社の事業部門と兼務している点」があげられます。障害者雇用はCSRではなく、CSV(Creating Shared Value:社会価値と経済価値の両立)によって持続可能になるという考え方です。

障害者雇用の難課題「業務の切り出し」
障害者雇用の難課題「業務の切り出し」。特例子会社を通じて一定の成果をあげた経験から、持続可能な障害者雇用における「業務の切り出し」の重要さ、そしてそれを行うポイントについて書きました。ご興味ある方はぜひご覧ください。

これからは、そのCSV的発想を企業の取り組みとして閉じるのではなく、ビジネスセクターとソーシャルセクターを横断した社会全体に実装していきたい。ただ単に「困っている人を助けましょう」とか「社会貢献しましょう」という精神論ではなく、WIN-WINの関係を築けるのであれば、社会課題の解決に取り組む人がもっと増えるのではないでしょうか。