特例子会社の社長奮闘記(8)
はじめに
第8回目の本記事では、第1〜7回までの内容を踏まえて、いよいよ具体的な改善に取り組んでいきます。この記事の後半には、改善策を整理するためのExcelテンプレートのダウンロードリンクも用意しました!
- 経営目標の設定(定量目標や企業ビジョン)
- 障害者雇用の基礎知識や他社の先行事例を把握
- 特例子会社についての現状把握(オフィス環境や人事制度、福利厚生等)
- 特例子会社で働く社員の現状把握
- 特例子会社で働く社員の課題抽出
- 特例子会社に仕事を発注してくれる本社及びグループ子会社の現状把握
- 特例子会社に仕事を発注してくれる本社及びグループ子会社の課題抽出
- 特例子会社の改善(合理的配慮の強化、社内制度の充実、採用、人材育成など)
- 改善された特例子会社のプロモーション(業務の受注拡大)
このシリーズを初めてみるという方は以下の記事を先にご覧いただくことをオススメします!

過去記事の一覧はこちらから。

現状把握から改善施策を洗い出す
まず具体的な改善施策を網羅的に洗い出します。ここで大切なのは「現状把握」から導き出した課題の解決に紐付けることです。過去記事でいうと以下の3つです。
改善施策は、その導入が目的ではありません。それによって何が解決されるかをはっきりさせることで、本当に社員にとって有益な合理的配慮になります。以下のような表に整理するのもオススメです。
課題内容 | 改善施策(合理的配慮) |
Aという課題 | AAA |
Bという課題 | BBB |
Cという課題 | CCC |
Dという課題 | DDD |
また、私が代表をしていた特例子会社グリービジネスオペレーションズでは、内部の現状把握にとどまらず、Twitterでも意見を募集しました。以下の記事で紹介しているハッシュタグも参考になると思います!

企業ビジョンへの適合性を評価する
改善施策を洗い出したら、そこに優先度をつけていきます。そこで重要なのが「企業ビジョン適合性」です。会社によっては「経営理念」「社是」「ミッション」「ビジョン」などなど、言い方は色々ありますが、すべて同じようなもので、その企業の普遍的な存在価値を表します。
以下はその一例です。
社会に貢献する企業として、障がいのある人の雇用機会を創出する障がいのある人と共に成長し、価値あるサービスを提供する。 – 楽天ソシオビジネス(楽天グループ特例子会社)
障がい者の成長と社会の成長の実現に貢献します、多様性を活かし社会と共に成長する – DeNAビジネスコミュニケーションズ(ディー・エヌ・エー特例子会社)
第5回の記事「働く社員が抱える課題抽出」でも書いたのですが、物事の優先順をつけたり意思決定する際の道標になってくれるのが「企業ビジョン」です。洗い出した改善施策それぞれに対し、適合性を評価していきます。
課題内容 | 改善施策(合理的配慮) | 企業ビジョン適合性 |
Aという課題 | AAA | ◯ (能力発揮) |
Bという課題 | BBB | △(能力発揮) |
Cという課題 | CCC | ◎ (自律成長) |
Dという課題 | DDD | △ (自律成長) |
「企業ビジョン適合性」を評価しなかった場合、社員の満足度が高い福利厚生だけが充実してしまうという落とし穴が待ち受けています。こういった改善は短期的には有効に働きます。ただ、中長期的にはコスト高になってしまったり、その存在価値が薄れてしまうといった結果につながるので注意が必要です。
費用と持続可能性を踏まえて優先順位を付ける
最後は「費用」と「持続可能性」です。こちらは経営視点にはなりますが、できるだけ費用対効果の高いものから導入するための評価軸です。
課題内容 | 改善施策(合理的配慮) | 企業ビジョン適合性 | 導入コスト | 持続可能性 |
Aという課題 | AAA | ◯ (能力発揮) | ◯ | ◯ |
Bという課題 | BBB | △(能力発揮) | △ | △ |
Cという課題 | CCC | ◎ (自律成長) | ◎ | ◎ |
Dという課題 | DDD | △ (自律成長) | △ | △ |
改善策を整理するためのExcelテンプレート
以上をすぐにExcelで使えるよう、こちらにテンプレートを用意しました(PC推奨)。左上のファイルメニューからファイル形式を選択して自由にダウンロードしてください。
改善施策の事例
以下は、2019年に京都府特別支援教育研究協議会で講演を行った際のプレゼンテーション資料です。P28から、私が代表をしていた特例子会社で実際に行った施策についていくつか紹介しているので、ぜひご覧ください!
さいごに
繰り返しになりますが、「合理的配慮の内容」というのは画一的に定義されるものではありません。「これさえやっておけばいい」というマニュアルもありません。第1〜7回の記事で書いたようなプロセスを経て、各企業ごとに最適化されるべきものであることをしっかり認識しましょう!(次の記事を見る)