特例子会社の社長奮闘記(3)

特例子会社の社長奮闘記
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特例子会社の社長奮闘記(3)

はじめに

いくら知識をつけても、先人に学んでも、己の現状を把握しない限り最適な打ち手は見い出せません。第3回の本記事では「特例子会社についての現状把握」について書きたいと思います。

  1. 経営目標の設定(定量目標や企業ビジョン)
  2. 障害者雇用の基礎知識や他社の先行事例を把握
  3. 特例子会社についての現状把握(オフィス環境や人事制度、福利厚生等)
  4. 特例子会社で働く社員の現状把握
  5. 特例子会社で働く社員の課題抽出
  6. 特例子会社に仕事を発注してくれる本社及びグループ子会社の現状把握
  7. 特例子会社に仕事を発注してくれる本社及びグループ子会社の課題抽出
  8. 特例子会社の改善(合理的配慮の強化、社内制度の充実、採用、人材育成など)
  9. 改善された特例子会社のプロモーション(業務の受注拡大)

このシリーズを初めてみるという方は以下の記事を先にご覧いただくことをオススメします!

人事経験ゼロのマーケターが取り組んだ障害者雇用📌
人事経験ゼロのマーケターが取り組んだ障害者雇用。発達障害者の雇用と戦力化、そして特例子会社の代表として取り組んだことを「特例子会社の社長奮闘記」として残していきたいと思います。本記事では前提と全体構成について書きました。

過去記事の一覧はこちらから。

発達障害者を雇用する特例子会社の社長奮闘記
人事経験ゼロから取り組んだ発達障害者の雇用と戦力化。本職であるマーケティングの考え方を活かし、特例子会社の代表として取り組んだことを「特例子会社の社長奮闘記」として残していきたいと思います。

特例子会社についての現状把握(オフィス環境)

建物の設備

まずはオフィス環境です。業種や社員数、社員の障害特性などによってチェックポイントはさまざまですが、現在は、平成18年(2006年)の12月に施行された「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」によって行政から一定の基準が明示されています。

これは、通称「バリアフリー新法」と呼ばれ、旧法では対象者を「高齢者、身体障害者など」としていたのに対して、新法では「高齢者、障害者等」としていおり、身体障害だけでなく、精神、知的などすべての障害が含まれるようになりました。

入居している、もしくは、入居予定のオフィスビル管理者に「バリアフリー新法に適合しているか」を確認することを最低限やっておくことをオススメします。

  • 車椅子と人がすれ違える廊下
  • 通路巾の確保(1.2m)
  • トイレの一部に車椅子用のトイレがひとつはある
  • 目の不自由な人も利用し易いエレベーターがある 等

バリアフリー新法に沿った最低限のチェックの後、独自の改善については、社員への個別ヒアリング後に考えるのがよいです。設備投資は障害を持った社員の能力を発揮させるためのものですから。

駅からの距離

新型コロナウィルスの感染拡大をきっかけに、在宅ワークという新しい働き方の選択肢が出てきました。そのため、今となってはあまり重要ではないですが、「駅からオフィスまでの距離」というのもチェックポイントとしてあげておきます。言わずもがな、駅からオフィスまでは徒歩で5〜10分程度であることが望ましいです。

特例子会社についての現状把握(人事制度や福利厚生)

人事制度や福利厚生における現状把握です。前述した設備と同様、独自の制度設計ついては、社員への個別ヒアリング後に検討しましょう。ここでは最初の必要最低限のチェックポイントをご紹介します。

グループ本社との差異チェック(就業規則)

グループ本社と特例子会社とで就業規則に差異がある場合は、それを把握しておく事が重要です。差異があることが悪いという訳ではありません。合理的配慮の文脈で独自に作られている場合もあります。一方で、社員にとって利益となるものに合理的な理由なく差がついている場合は、差異を明らかにしておきましょう。

グループ本社との差異チェック(社内ツールや備品)

メールソフトやファイルの共有方法、ビデオ会議ツールなど、これらもグループ本社との差異を確認します。グループ本社やグループ子会社は、業務を発注してくれる大切なお客様になります。そのお客様とできるだけ同じ環境にあることが受注効率に直結します。合理的配慮の文脈で不要なものもありますが、差異を明らかにしておきましょう。

グループ本社との差異チェック(採用プロセス)

採用の最終的な意思決定者が誰なのか。あらかじめ承認された採用人数(予算)の範囲内であれば、特例子会社に独立した権限があるほうが望ましいです。障害者の採用環境は年々厳しくなっており、グループ本社の採用プロセスとは差別化を図る必要があります。グループ本社への依存度を明らかにしておきましょう。

グループ本社との差異チェック(育成・研修)

グループ本社では当たり前のように実施されている基礎研修(マナー研修やコンプライアンス研修など)が、特例子会社で実施されていないケースもあります。社員の育成手段として、また、社員のロイヤリティを高めるためにも研修は有効です。研修メニューについても、差異を明らかにしておきましょう。

さいごに

この段階でやることはあくまで「現状把握」です。緊急でない限り、足りないものやグループ本社との差異の是正は後日まとめて検討することをオススメします。次回以降の記事でお話する「働く社員の特性」や「仕事を発注してくれる本社及びグループ子会社の状況」を把握してから、総合的に優先順位をつけるほうが効率的です。(次の記事を見る