特例子会社の社長が取り組む社員との 定期 1 on 1
はじめに
特例子会社であるグリービジネスオペレーションズ(以下、GBO)。GBOの特徴的な人事制度に「社長との定期 1 on 1 」があります。社員数が増えたので頻度は昔より減ってしまいましたが、2013年12月の代表就任時に制度をつくり、今でも毎週1度は必ずやっています。
1 on 1 を続ける理由
1 on 1 を続けている理由は以下の2つです。
- 全社員を理解し続けるため
- 会社ビジョンの浸透のため
私は、障害者雇用の経験どころか人事経験すらないまま特例子会社の代表に就きました。その理由は「グリーブループ全体への事業貢献度をあげる」という私に適したミッションがあったからなのですが、未経験であることには変わりません。
当時も今も、がむしゃらにインプットを増やすしかありません。自分のことを知ってもらうだけでなく、社員のこと、発達障害のことを知るには、社員と直接会話す機会は必要です。だからこそ今でも 1 on 1 を続けています。
1 on 1 のエピソード
1 on 1 は数え切れないほど実施してます。どんな話をしたのかすべて覚えているわけではないのですが、印象に残ったことはメモに残しています。その一部を紹介します!
社員に障害と診断されたときの気持ちを聞いたら「ホッとした」と言っていた。世の中のすべての障害者がそう思っているわけではないし、ショックもあったと思う。一方、学校や会社でうまくいかなかったのは障害のせいとわかったことで新たな自己肯定感が生まれたことも事実。障害者雇用枠や特例子会社を活用して社会参加のきっかけを得て、みんな生き生きと仕事をしている。未来の日本社会はもっと多くの障害者にとって働く選択肢が増えると思うし、増やしていく立場でありたい。
「8時間フルタイムでずっと仕事するはつらくない?」と質問してみた。彼は皆勤賞の常連。「大好きな将棋で培った集中力があるから平気です!」と笑顔で答えていた。プロ棋士になろうとしていたくらい幼少期から将棋が大好きで、グリーグループの将棋部にも所属している。仕事や勉強に直接関係なくても、好きなことに熱中させてあげるというのは大事なことだと思った。
「何か困ってることある?」と聞いたら、オフィスフロアの掃除につかっている掃除機が壊れているとのこと。部屋を出て一緒に掃除機を見に行ったらたしかに壊れている。すぐに現場の管理スタッフに買い替えを指示。1 on 1 がなかったらずっとこの壊れた掃除機で掃除をしていたのだろうか・・・。こういうことが言いづらい環境なのか、または障害特性によるものかもしれない。1 on1 でのインプットは大事。
他にも、絵を描くのが好きな社員がおり、スマホで書いたオリジナルのキャラクターを見せてくれたり、ハンドメイドグッズ創作してフリマで販売している話しを聞いたり、バーチャルYouTuberになって毎晩配信している話を聞いたり、社員の多才さに気付く機会でもあります。
発達障害者だから多才なのではなくて、個性と向き合って初めてわかることなんだと思います。その個性が万人うけするかどうかは重要じゃなくて「夢中になれること」「好きなこと」をやっているだけ。それを上司である私自身が肌身で感じることが重要なんです!
1 on 1 の目的の変化
自分自身へのインプットを増やす目的で始めた 1 on 1 ですが、時間も経過し、以下の本に出会って目的意識も変わりました。
印象に残ったのはこちら。
人の学びは「自分の経験からが7割」「他者の話しからが2割」「研修や書籍からが1割」であり、その自分の経験を振り返るのが 1 on 1
私も「経験こそが最大の成長機会」だと思っています。1 on 1 での会話も、最近の仕事のことや、困っていること、失敗したことなども積極的に会話に織り交ぜるように変えました。
社員にとっても、話し相手は医者やカウンセラーではなく会社の「社長」です。必要に応じて業務に関する具体的なアドバイスができますし、良い部分があれば評価や称賛をすることもできるので、社員の成長やモチベーションに直結しやすいという効果もあります。
最近は「障害者がやっている単純作業はAIに取って代わられる」といった議論をSNSでも見かけますが、人とAIの一番の違いは「モチベーション」。1 on 1 を続けることでAIで実現できない組織やチームを作れるのではないでしょうか。
さいごに
今でこそ 1 on 1 は多くの企業で実践されている取り組みですが、障害者雇用の現場でも有効に機能すると思っています。 人事経験ゼロの私がどのように障害者雇用に取り組んだかは、別の記事でまとめています。ご興味ある方はぜひご覧ください!
