障害者雇用に関する認定制度について
はじめに
障害者雇用において優良な取り組みをしている企業、適正な環境整備がされている企業は日本にもたくさんあります。これらの企業に対して、一定の審査基準に沿って第三者が制定している「認定制度」についてご紹介したいと思います。
特例子会社
2019年(令和元年)6月1日時点で517社が存在する「特例子会社」。私が7年間代表を務めていたのも特例子会社です。障害者の雇用に特別な配慮をし、障害者の雇用の促進等に関する法律第44条の規定によって一定の要件を満たした上で厚生労働大臣の認可を受けることで認定されます。
障害者雇用率制度においては、障害者の雇用機会の確保は個々の事業主(企業)ごとに義務づけられている。一方、障害者の雇用の促進及び安定を図るため、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できることとしている。また、特例子会社を持つ親会社については、関係する子会社も含め、企業グループによる実雇用率算定を可能としている。(厚生労働省のHPより)
大企業では、特例子会社を通じて障害者が活躍できる環境を整えている会社も多いですね。「特例子会社=差別環境」なんて意見もたまに見かけることがありますが、全くそんなことはありません。特例子会社のメリットについては過去記事もぜひご覧ください。

雇用環境整備適正事業者認定制度
次にご紹介するのは、一般社団法人日本雇用環境整備機構が制定している「雇用環境整備適正事業者認定制度」。こちらも私が代表をしていた特例子会社で認定を受けていました。
適正な雇用環境整備事業者と認定された者に「適正事業者認定マーク」を配布します。認定事業者はその行動指針等が公開され、CSR向上及び社内の育児・障害・エイジレス対象者雇用へのコンプライアンス意識の強化、適切な雇用管理体制の推進に資することができます。また求職中の育児・障害・エイジレス雇用へのポジティブアクションとしてご活用ください。- 公式ホームページより
認定は以下の3種類があります。
- 第Ⅰ種:育児者雇用環境整備認定マーク
- 第Ⅱ種:障害者雇用環境整備認定マーク
- 第Ⅲ種:エイジレス雇用環境整備認定マーク
障害者雇用に関するものは「第Ⅱ種」です。特例子会社とのダブル認定が可能です。認定基準の一つに「雇用環境整備士資格者」の在籍というのがあり、私も資格者講習を受けました。
もにす認定制度
続いて、2020年の4月1日に施行された障害者雇用促進法の改正にともなって制定された「もにす認定制度」。できたてほやほやです。特例子会社と同じく厚生労働大臣が認定する制度ですね。「もにす」とは共に進む(ともにすすむ)という言葉と、企業と障害者が共に明るい未来や社会に進んでいくことを期待して名付けられたとのことです。
障害者の雇用の促進及び雇用の安定に関する取組の実施状況などが優良な中小事業主を厚生労働大臣が認定する制度です。認定制度により、障害者雇用の取組に対するインセンティブを付与することに加え、既に認定を受けた事業主の取組状況を、地域における障害者雇用のロールモデルとして公表し、他社においても参考とできるようにすることなどを通じ、中小事業主全体で障害者雇用の取組が進展することが期待されます。(厚生労働省のHPより)
2020年の10月には初の認定事業者が発表されていました。
認定基準項目が細かく明文化されておりポイント制になっています。法定雇用率を満たしていることは大前提として、その他の基準項目はこちらのPDFで確認できます。20点(特例子会社は35点)以上得ることが必要ですね。
つい先日、楽天の特例子会社である楽天ソシオビジネスが認定をうけていました。こちらも、特例子会社とのダブル認定が可能。楽天ソシオビジネス代表の川島さんには何度かお会いしたことありますが本当にすばらしい経営者です。著書もおすすめです。
番外編:The Valuable 500
以上3つが日本で代表的な認定制度になるのですが、最後に番外編。「The Valuable 500」というのをご存知でしょうか? こちらは認定制度ではありません。
2019年1月に開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で発足した、障害者が社会、ビジネス、経済における潜在的な価値を発揮できるような改革を、世界500社のビジネスリーダーが起こすことを目的とした、世界的なネットワーク組織です。- 引用元
参加資格が以下のように定められているので大企業向けですね。
- 取締役会のアジェンダに、障害に関する内容を盛り込む
- 障害インクルージョンに関するアクションを一つ実施する
- そのアクションを、社内外に向けて発信する
- 従業員1,000人の企業規模である
日本では、丸井グループ、三井化学株式会社、ソフトバンク株式会社、全日本空輸株式会社などが署名しているとありますが、最近のリリースを見てみると、NTT、電通、ソニー、ソニー生命、参天製薬、朝日新聞社、大和ハウス工業、積水ハウス、DMMなど、業界の垣根を超えて、日本の名だたる企業が次々に加盟を表明しています。すごい。
発起人はアイルランド人の社会起業家キャロライン・ケーシーさん。自身も視覚障害者。昨年2月の日本財団主催のセミナーの内容はぜひ以下のサイトを見てほしいです。
「世界人口における障害者の割合は15%で、約10億人に当たります。さらに家族や友人など、近しいところに障害者がいる人は全体の50%。その購買力のニーズは8兆ドルとも言われ、売り手も買い手もかなり潜在力のある市場と言えます。ですが、ビジネスシーンにおいて障害者を視野に入れた積極的雇用やマーケティング活動は、そこまで進んでいないのが現状です」 –日本財団主催のセミナー
さいごに
「世界人口における障害者の割合は15%」この数字を目の当たりにすると、障害者の雇用というのはもっともっと身近な社会課題であると気付かされます。前述した3つの認定制度なども有効に活用して、もっと日本で障害者が働きやすい環境の整備が進むといいですね。