障害者雇用の難課題「業務の切り出し」

障害者雇用
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障害者雇用の難課題「業務の切り出し」

はじめに

持続可能な障害者雇用を実現するために、採用と環境整備に次ぐ難課題が「業務の切り出し」です。良い人材が採用できて、合理的配慮が行き届いても、仕事がなければ雇用を維持できません。その仕事の多くは、企業の内部から業務を切り出すことが必要になってきます。

「CSV」という考え方

CSVという言葉をご存知でしょうか? 

CSVとは、Creating Shared Valueの略で、企業が社会的な課題に取り組むことで、企業の生産性や経済的価値が高まるという概念のこと。社会的価値の創出と企業の経済利益活動を同時に実現すること。「共通価値の創造」。アメリカの経済学者マイケル・E・ポーターらが、従来までの受動的CSRから戦略的CSRへの転換となる概念として2006年の論文「Strategy and Society」で提唱し、それを2011年の論文「Creating Shared Value」で発展させた。

CSRの文脈で語られることが多かった障害者雇用を発展させ、経済価値との「共通価値の創造」を実現する考え方です。まさに、障害者雇用をより持続的にするためには、CSRでなくCSV的な考え方が必要になります。そこで重要になってくるのは「業務の切り出し」なのです。

本業から業務を切り出して障害者を戦力に

障害者雇用は、多くの企業で人事部門が管掌している場合が多いです。そのため、人事や管理部門からの業務の切り出しが最初の一歩になります。ただ、中長期的には本業に近いところからの業務の切り出しが必要になります。そのメリットは「継続性」です。

  • 当事者である社員がやりがいを感じ離職率が下がる
  • 企業全体で障害者雇用に取り組むことでCSR意識が高まる
  • 障害者の人材価値があがり継続的な雇用動機がうまれる

より具体的な業務の切り出し方法については別の記事にまとめています。ぜひご覧ください!

特例子会社の社長奮闘記(7)
7回目の記事「特例子会社に仕事を発注してくれる本社及びグループ子会社の課題抽出」について書きました。人事経験ゼロから取り組んだ発達障害者の雇用と戦力化。本職であるマーケティングの考え方を活かし、特例子会社の代表として取り組んだことを「特例子会社の社長奮闘記」として残していきたいと思います。

障害者雇用の責任者を本業から抜擢する

私が代表をしている特例子会社グリービジネスオペレーションズ(以下、GBO)。GBOが障害者雇用で一定の成果を出せている理由には、私が特例子会社の代表を専任でやっているのではなく、本社の事業部門と兼務している点があげられます。

本社とのつながりが密であり、情報もリアルタイムにキャッチできるからこそ、さまざまな部門から多様な業務を受注することができています。人事部門だけでなく、本社で事業部門にいるマネジメント人材を障害者雇用の現場に抜擢アサインすることが、障害者雇用が「CSR」から「CSV」になる近道です。

さいごに

Twitter上でこんな声を見つけました。

特例子会社を作らず、障がい者雇用 が進んでいる(健常者と障がい者が同じフィールドで働ける)会社は、ホワイト企業 です。障がい者雇用を進められる財務状況と、障がい者を受け入れられる組織的柔軟性があるからです。

特例子会社の代表を6年以上やってきている私が断言します。上記は間違っています。独立した特例子会社をゼロから立ち上げて、そこで障害者を受け入れるには相応の財務体力と組織的柔軟性が必要です。企業として、障害者雇用を進めていることが対外的にオープンになるため長期的に取り組む覚悟も必要です。

「業務の切り出し」にもつながる特例子会社のメリットについては、昨年記事にしているのでぜひ一度ご覧ください。

特例子会社のメリットとは - 経営の現場から
障害者を雇用する手段としての特例子会社。そのメリット・デメリットについては様々な議論があります。本記事では、特例子会社の代表を5年務めた私自身が思っていることを書きました。結論、メリットもデメリットも特例子会社だからといって一律ではないです。会社によって違います。もしご興味ある方はぜひご覧ください。